近年、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割調停件数は年間12000件以上で増加傾向にあります。
ご自身の死後に親族間での争いが起こらないよう、生前に遺言を作成をご検討してみてはいかがでしょうか
- 子供がいない方
- 相続人がいない方
- 先妻の子供と後妻の子供がいる場合
- 相続人以外に遺産を渡したい場合
- 相続人同士の仲が悪い

遺言書には特別な場合を除き、次の3種類があります。

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自筆証書遺言
自筆証書遺言とは遺言者が遺言の内容を紙に自署する方式のものです。
筆跡により、遺言者の真意を担保するもので、比較的簡単に作成可能で費用もほとんどかかりませんが、書き間違えの恐れや法律上の要件を満たさないために無効になってしまうことがありますので注意が必要です。
- 作成費用が安く済む
- 証人等の他者の協力が不要
- 秘密性が高い
- 要件が厳格で無効のリスクあり
- 字の書けない人は利用できない
- 家庭裁判所の検認手続きが必要
尚、2019年1月から法改正により財産目録については手書きで作成する必要がなくなりました。
また、2020年から自筆証書遺言を法務局が保管してくれる制度が始まります。
自筆証書遺言においては基本的に検認手続きが必要です。
但し、上記の制度を利用して法務局に遺言を保管してもらう場合は不要です。
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
公正証書遺言
公正証書遺言は遺言者が公証人の面前でに遺言の内容を述べて、公正証書として作成する遺言です。
公証人が作成してくれるため様式の不備により無効になることもありませんし、公証役場で遺言の保管もしてくれるため、偽造や紛失の心配もありません。
ただし、財産に応じて公証人手数料も掛かりますし、証人を2名用意する負担もあります。
- 公証人が作成してくれるので自筆の必要がなく、公証役場に原本が保管される
- 遺言登録検索システムを利用できるため存否の確認が容易
- 家庭裁判所の検認手続きが不要
- 遺産の金額に応じて手数料がかかる
- 証人2名の立会が必要となる
- 作成の関係者が増えるため内容漏洩のリスク
- 未成年者
- 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
公正証書遺言は公証人役場で原本が保管されます。
昭和64年1月以降に作成した公正証書遺言については遺言者の死後、相続人等の利害関係人による照会請求が可能です。

秘密証書遺言
秘密証書遺言は遺言の内容を秘密性を保持したいが、その存在については明確にしておきたい場合に利用する方式です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的な位置づけとなります。
署名以外はワープロ等を用いてもOKです。
遺言書に封をして遺言書が封入されていることを公証してもらう必要があるため、公証人及び証人2名の関与が必要です。
尚、家庭裁判所における検認手続きは省略できません。
自筆証書遺言や公正証書遺言と比較すると利用頻度は多くないと思われます。
- ワープロ可、他人が書いてもOK
- 作成の事実が公証役場で記録される
- 秘密性が高い
- 公証人手数料がかかる
- 公証人の関与、証人2名の立会が必要となる
- 家庭裁判所の検認手続きが必要
第九百七十条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 ≪省略≫

それそれ長所・短所があるよね

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遺贈とは?
遺贈とは、遺言によって遺産を受遺者(相手方)に与えることです。
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することが可能です。
遺言者の死亡と同時に効力が発生し、対象となった財産は受遺者に移転します。
尚、受遺者は遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができます。

内縁関係の方に財産を残したい場合とかにいいよね
民法第964条の規定の通り、遺贈には特定遺贈と包括遺贈があります。
特定遺贈は、ある特定の不動産や預金口座などを個別に特定したうえで、遺贈することをいいます。
一方、包括遺贈は、財産を個別に特定することなく遺産の全部または一部の割合において遺贈することをいいます。
尚、いずれの場合も受遺者に負担を課す負担付遺贈や条件・期限を付ける条件付遺贈・負担付遺贈とすることも可能です。
遺言に関してよくある質問
- 一度作成した遺言を撤回することはできる?
- 遺言は撤回することが可能です。新しく遺言を作り直せば、前の遺言と抵触する部分は前の遺言を撤回したものと見做されます。
また、不動産を子に相続させる旨の遺言書作成後に、当該不動産を売却したような場合もその不動産に関しては遺言の撤回と見做されます。
- 夫婦が同一の書面で一緒に遺言することはできる?
- 民法第975条により「共同遺言」は禁止されています。各自が自由に撤回や変更できなくなる等の不都合を回避するためです。
- 相続人もおらず、遺言を書かなかった場合、遺産はどうなる?
- 国庫(つまり国のもの)に帰属することとなります。
尚、遺言により自らの財産を相続人以外の他人に与えること(遺贈)も可能です。
- 遺言執行者って何する人?
- 遺言の効力発生後に、その内容を実現するために手続きを行う者のことです。遺言で指定することができます。
尚、未成年者及び破産者は遺言執行者になれませんが、それ以外の制限はありませんので相続人はもちろんのこと、司法書士等の専門家や信託銀行等の法人も就任することが可能です。
- 遺留分って何?
- 遺留分についてはこちら
- 遺言者の死亡後、相続人は遺言の封筒を開封してもいい?
- 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができませんので、遺言書を保管している人、または発見した相続人は相続の開始後直ぐに遺言書を家庭裁判所に提出して検認の請求をする必要があります。
- 身体に障害があるのですが遺言できる?
- 基本的に可能なケースが多いのですが、障害の内容や遺言の方式によって結論が変わる場合があります。
詳しくは個別に司法書士にご相談ください。
- 自筆証書遺言って必ず封筒に入れなければならないの?
- 封筒に入れるかどうかについては特に法令による規定はありません。
なので、封筒に入っていなくても正しく作成されていれば有効です。
但し、秘密保持や偽造防止の観点から封筒に入れて封印しておくのが望ましく、保管上も便利です。
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